【ネタバレなし書評】町田そのこ「星を掬う」過酷キャラの渋滞と再生。「おふっ」変な声とともに涙が…

読書

独身中年の趣味といえば、読書だよね。地元の書店で見つけたのが、町田そのこの小説「星を掬う」(中公文庫)。町田そのこといえば、「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を獲ってたな。「コンビニ兄弟」もゆるく読めて楽しいんだよな。裏表紙のあらすじを読んでみる。

千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、かつて自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、家事を完璧に担う彩子と、聖子を理想の「母」と呼び慕う恵真。「普通」の家族関係を築けなかった者たちの奇妙な共同生活は、うまくいきかけたものの、聖子の病で終わりを告げ―。傷つけながらも求め合う母娘の再生物語。

なるほどね。再生物語は好きだよ。どん底から這い上がってから感じる幸せって、やっぱりいいよね。ハイツで共同生活って「めぞん一刻」(古っ…)みたいで楽しそうじゃん。というわけで読んでみた。

読み始めてすぐ、オレはドン引きした。思ってたのと違う…主人公の千鶴、過酷すぎない? 追い詰められる描写もうまいから、思わず身体を固くしてヤバいシーンが過ぎるのを待つ。シーンが終わると、心の底からふひゅーっとひと息。オレは忘れていた。これは「52ヘルツのクジラたち」の著者が書いたということを。あちらも主人公の過去は最悪だった。「コンビニ兄弟」のライトな印象でカバーされていたけど、そうか、今回はそっち系か…。

ただ、ページを繰る手が止まらない。このあとどうなるんだ? ホントに再生するんだよね…? そして、かつて自分を捨てた母・聖子と「さざめきハイツ」で同居することになるんだけど、同居人である2人・恵真と彩子の過去もまた過酷。これまた背景を完璧に描写してるからリアリティが圧倒的で、読者としては受け入れるしかないのだ。

やがて、母の聖子が千鶴を捨てた本当の理由も明らかに。その過程では「ちょっとそれ何? 怖い怖い、怖いって…」としかいえないシーンもあって…多分にホラー要素も含む作品だと思った。

物語のなかで清涼剤といえば、同居人・恵真のまっすぐな心かな。それと、奔放な母の聖子がとても魅力的だ。やがて病気が悪化していくわけだけど、それがのちの感動シーンへとつながっていく。私の場合、「おふっ」という変な声のあとに涙が止まらなくなった。それは「星を掬う」という行為に関連している、とだけ言っておこう。

それともうひとつ、「チェーホフの銃」は、この小説にも適用されている。物語で銃が出てきたとき、その引き金は必ず引かれる、というやつだ。私も覚悟はしていたけれど、当該のシーンでは頭が熱くなり、心臓バクバク。息を忘れて食い入ってしまった。

最後のページを読み終えたとき、私の顔は涙でぐしゃぐしゃ。ただ、心は信じられないほどスッキリしている。過酷キャラが渋滞しているが、背景の描写がうまいから、感情移入の深さが尋常ではない。そして不幸が大きすぎるぶん、再生の感動も格別に大きかった。まさに究極のツンデレ(違うか)。いや~読んでよかった。みなさんもぜひ味わってみて。

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