かつて「バーベンハイマー事件(※)」で物議を醸し、その後、アカデミー賞7冠を獲得した映画「オッペンハイマー」。監督は「メメント」や「ダークナイト」、「インセプション」などの名作を世に送り出したクリストファー・ノーランだ。日本では3月29日にようやく上映されたけど、実際はどうなん? 「日本人が見るべきか否か」とかそういうことには興味がない。肝心なのは、おもしろいか、おもしろくないかだ。Googleユーザーの高評価の割合は、83%でちょっと微妙。しかも上映時間が3時間って…。でもまあ、独身中年ならば問題作を語れる男でありたいよね。というわけで見に行った。
※米国で「オッペンハイマー」とファンタジーコメディー映画「バービー」が同日(2023年7月21日)に上映を開始。これを機に、「#Barbenheimer」(バーベンハイマー)のハッシュタグで両映画の画像を組み合わせたポップなファンアートがSNSに投稿され、これに「バービー」公式Xが好意的なコメントで反応。日本を中心に反発の声が上がり、バービーの配給会社が謝罪した事件。「オッペンハイマー」の日本での上映が遅れた一因になった
実際に見てみて、高評価が83%と微妙だったことに合点がいった。うん、こりゃ1回見ただけじゃダメだわ。「よくわからなかった」という人は多いだろうな。では、見なければよかったか? というと、実際はその逆だ。興味を深めたオレは、ネットで情報を集めたうえで2回目を見に行った。
そんなオレに対し、見ていない人(あなた)は「おもしろかった?」と問うだろう。その裏には(でも手短にね)という要望があるのも知っている。そのうえで、オレはこう答える。
「映画ならではの魅力が詰まっていて、おもしろかった。一番の醍醐味は構成の妙だね。でも、やっぱりアメリカ人のための映画。日本人にはわかりづらいかも」
これを聞いたあなたは、「アメリカ人のための映画ってどういうこと?」(当たり前じゃん)と思うはず。
「初見だと、ストーリーの理解が追い付かないんだよ。時系列の違うシーンが混在しているのと、登場人物がすごく多くて誰が誰だかわからない。もともと、オレたちって欧米人の顔の判別には慣れてないでしょ。英語もヒアリングできないから、字幕を読むのに追われてまたストーリーと人物の理解がおろそかになる。歴史的な背景を知っていたら少しはマシだろうが、オレたちにはそれもない。『いろいろ調べて、2回以上見ないと理解できない3時間の映画』ってどうなのよ? 『アメリカ人のための映画』ってのはそういう意味。でも…」
「それでもオレは、見て良かったと思ってる」
「…どこが良かった?」
「素晴らしい俳優と重厚な映像、スケールの大きさはさすが。音の使い方も面白い(うるさいけど)。見る者を別世界に連れていくのが映画だとしたら、その役割は十分に果たしている。それと構成の妙。どんどんパズルがはまっていって、最後のタネあかしでは大きなカタルシスが待ってるよ」
「日本についてはどうだった?」
「原爆が落とされた経緯が過不足なく描かれていた。一定のリスペクトが感じられて、映画の表現としては適切だったと思う。ただ、日本を高く評価するような描写はないので、自尊心がくすぐられることはないかな」
感想としては、以上だ。さらに2回見た者から初見の方へアドバイスを送るとしたら、以下のようになる。
●カラーのシーンとモノクロのシーンが混在する。カラーのシーンは「核分裂」、モノクロのシーンは「核融合」と名付けられており、それぞれ別の意味がある。
●シーンは時系列で分けると大きく3つ。①原爆開発までの経緯(~1945まで。戦時中がメイン)→②原子力委員会の聴聞会(戦後・1954年)→③モノクロのシーン(戦後・1959年がメイン)。
●上記の②で審議されるのは、過去に共産党に関わったことによるオッペンハイマーのスパイ容疑。
●③には「ある人物」が米国政府の閣僚にふさわしいかどうか審査される会がある。
●原子爆弾(原爆)と水素爆弾(水爆)の違い→威力は原爆より水爆のほうがはるかに高い(原爆の約100~1000倍。水爆の起爆には原爆のエネルギーを使う)。原子爆弾は核分裂を利用し、水素爆弾は核融合をメインで利用。
●エンドロール後の仕掛けはない。エンドロールが始まったら、席を立ってOK。
上記をあらかじめ知っておけば、まったくの知識ゼロと比べて格段に理解は進むと思う。本稿で興味をそそられたあなた。「オッペンハイマー」で3時間のよき旅を。きっと後悔はしないと思いますよ。
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