独身中年の嗜み、それは映画。ってことで、「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」を見に行ってきた。まずまず面白かったと思う。映像には迫力があったし、敷島(演・神木隆之介)の心情も丁寧に描かれていて、そこは感情移入できた。一度目は決して忘れえぬ恐怖と挫折を与えられ、二度目は大切な人を奪われるという…。そりゃあ、ゴジラを恨むよな。コイツ倒せるなら、もう死んだっていい…って。最後は観客全員の予想通り、戦闘機の機体ごと突っ込んでゴジラを倒すわけだけど、それもやっぱり胸が熱くなるよね。
本筋とは関係ないけど、敷島が仕事にも慣れ、家にもだんだんとモノが増えて生活が整っていく様子もワクワクした。武器がないから、機雷を現地調達っていうアイデアも面白いな、と。国内、アメリカでヒットしているのも、まあわかる。ただ、こりゃどうなんだい? ちょっとないよね…というシーンがいくつかあったので、そこだけどうしても語りたい。
①そこはさすがに国が動こうよ
普通、民間でしかゴジラに対抗できないなんてことある? 銀座を吹っ飛ばされてんだよ。それが再上陸したら、どんだけ被害が出るかわかってるでしょ? 国が滅亡していいの? そこを主張したら、さすがに国際世論も認めざるをえないはず。大規模な作戦を撮影するだけの資金がなかったのか? アイデアから逆算したのか? いずれにせよ、この設定にはかなりの無理がある。制作の事情が透けて見えて、興が削がれた。
②なんで応援の船が来た?
深海からゴジラを引っ張り上げるのに、動力が足りない! くそっ、どうすりゃいいんだ…という場面。なぜか残してきた見習い船員の水島四郎(演・山田裕貴)が多数の漁船を引き連れて駆けつける。…これ、胸アツシーンなのかな? オレとしては状況が都合よすぎて、無理だった。武器を持たない非武装の漁船がなぜここに? 何ができると思った? 途中で通信するヒマなかったよね? 何の伏線もなく船団が現れたのが受け入れられない。うーん、これはイヤだ…。
③最後、敬礼じゃないでしょ
敷島が機体ごとゴジラの口に突っ込んで倒したあと。敷島の脱出が確認されている状況で、船員たちがゴジラに向かって敬礼するシーン。なんで敬礼? 敬礼って、相手を敬う気持ち、あるいは謝罪の気持ちがあるときに出るものだよね。敷島が特攻で死んだのなら自然に出て然るべき行為だけど、今回は崩れゆくゴジラ単体に向かって敬礼している。いやいや、このゴジラに恨みこそあれ、少しでも尊敬の気持ち、ある? 何の気兼ねもなく、本能のまま暴れ回っただけだからね。シメとして何かほしかったのはわかるけど、違うんだよなぁ…。例えば、敷島の生存判明が敬礼の後だったらキレイに収まったのに。
この①~③だけは腹に据えかねたので、どうしても書きたかった。「まあ、映画だから…」と言ってしまえばそれまでだが、あまりにトンデモな部分があると、リアリティがなくて冷めてしまうから。発信者のはしくれとして、自戒もこめて。それでは、また。
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